2024年8月28日の朝日新聞の記事にソニーが新開発しているアニメ制作に特化したソフト「AnimeCanvas」を開発し、今年度中の試験導入を目指すという記事を目にしました。
記事ではAnimeCanvasの導入によりアニメ制作における前工程と後工程の作業の効率化を図り「受けたくても受けられない案件」を減らし市場拡大を狙っていきたいとありました。
この記事読んで思ったことは「アニメ業界の市場が大きくなるのは良いことだが、これ以上アニメ本数を増やされても。。。」
今回は個人的に感じたAnimeCanvasが本格的に導入され市場拡大が起きた時の問題点を書いていきます。
AnimeCanvasとは
アニメ制作は前工程と後工程というものが存在する。
AnimeCanvasはその前工程と後工程でそれぞれ分け、2本での販売を予定してます。
まずは、後工程向けを現場で試験導入しその後、前工程向けと併せて他社に販売するという。
現在、アニメの制作現場ではアニメ制作に特化したソフトが無く例えば、キャラクター等の線を描く作業は漫画制作用に作られたソフトを仕方なく使っている。しかも、そうしたソフトの一部はすでにサポートが終了している。
そうした漫画向けの機能を省き、流れ作業をしやすく、作監などの修正指示を見逃さない仕様にする。
作業の効率化を図り受注案件を増やしていくのが期待される。
前工程と後工程
上で出てきた「前工程と後工程」がどのようなものか説明します。
まずアニメ制作には以下の工程があります。
企画・シナリオ→設定・デザイン→絵コンテ→レイアウト→原画→動画→仕上げ→美術・
3DCG→撮影→アフレコ→ダビング
赤字で書いた工程が前工程。青字で書いた工程が後工程です。
参考:東放学園
【前工程】
前工程の中でAnimeCanvasではとくに「原画と動画」の効率化を図る予定と思われます。
原画という作業は絵コンテやレイアウトを元に、動きのポイントになる画を描く工程。
例えば人物が右から左に移動するとします。右の画(動き始める画)と左の画(動きが止まる画)のことをポイントになる画。これを原画といいます。
動画とは原画で描いた画の間を埋める作業のことです。
【後工程】
後工程の中でAnimeCanvasではとくに「仕上げ」の効率化を図る予定と思われます。
仕上げとは、原画や動画で描いた画に色を付けていく作業です。
作品全体の印象を決めるといっても過言ではないので非常に重要な作業になります。
問題点
ここからはAnimeCanvasの記事を読んで個人的に感じた問題点を書いていきます。
これ以上アニメを増やされても観きれない!
昨今のアニメ人気もあり、1クールで放送されるアニメも増えています。
2000年代前半では1クール20~30本くらいでしたが、今では配信含め1クールに70本以上放送されるのが当たり前になってきています。
いくら配信サイトが充実してきて空き時間に手軽にアニメが観れる時代になっても観れる本数には限界があります。
私はフルタイムで働く社会人ですが、どんなに時間を調整して頑張っても週に30本のアニメを観るのが限界です。これでもかなり多いほうだと思います。
数年後AnimeCanvasが大普及し1クールに放送されるアニメが今よりも更に増えた場合、作品の知名度やネームバリュー、前評判で観るアニメを決定し、その数が多い場合いわゆる「1話切りや3話切り」のステージにも立てない作品が多く出てくると思います。それは非常に悲しいことだと思います。
ネームバリューが薄く前評判が微妙、放送されるてもあまり話題に上がらない。でも、個人的にはめっちゃ好きという作品に出会う可能性が低くなってしまいます。
そういうことを避けるためにも1クールに放送される本数は現状維持でAnimeCanvasにより作業効率が改善され、出来た時間は良いか悪いかは別としてオリジナル劇場版アニメを制作するなど、アニメ本数を増やすこと以外で市場拡大を狙ってほしいです。
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